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【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第20回グロトリアン・シュタインヴェーク

更新日:2020年10月13日

データ

モデル名:グロトリアン・シュタインヴェーク モデル名 model.2(210㎝)

製造年:1876年製

製造国:ドイツ ブラウンシュヴァイク製

張弦方法:通常張弦

フロント側:総アグラフ

ピン仕様:オープンフレーム

アクション仕様:アブストラクトアクション

ペダル:2本

鍵盤:85鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀)

外装:ローズウッド艶消し


今回は群馬県某所になんとクララ・シューマンが晩年自宅で愛用していたグロトリアンと全く同じモデルがあるということで収録に行ってきました!! 自分はあくまでモダン楽器の奏者ですのでこれから先も含めてもこの楽器が恐らくこのシリーズでも最古の部類になると思います。

そんな現代のピアノの原型とも言えるこのグロトリアン設計者はスタインウェイの天才技師テオドール・シュタインヴェーク(英語名セオドア・スタインウェイ)。フレームや鍵盤蓋のロゴからも分かる通り『 Th. Steinweg Nachf. (テオドール・シュタインヴェークの後継者)』と書かれておりこのピアノがテオドールの手掛けたものであることが分かります。実はこの数か月後、日本最古の1865年製スタインウェイのグランドピアノを弾かせていただいたことがあるのですがこの楽器とほぼ同一の楽器でした。

そんな貴重な一台のファーストインプレッションは驚くほどの音の深みと円やかさに驚きました。やはり設計が旧式なこともあり音量を出すことに重きを置いていない楽器特有の歌があります。生粋のドイツピアノの音といえる太く温かい音が豊かな残響と混ざり合い何とも言えない甘い音がします。

アクションも自分の大好きな連結式のアクションが搭載されており素晴らしいコントロール性、巷では連結式は連打性が悪いというデマが流れていますがしっかり整備された連結式アクション程軽く弾き易いアクションは無いと思います。現在のアクションにはとても強い打鍵に耐えうるように出来ているのでリニア性や微妙な表現は連結式に比べ遥かに劣ります。

ただこの楽器非常に残念なことにペダル一式がオリジナルでは無いものが付いており、ペダルが重くコントロールに非常に苦労した。

現代ピアノの第一世代ともいえるグロトリアンの名器を2時間以上じっくり楽しませていただきました。

グロトリアン

ローズウッドの外装と豪華な譜面台と装飾がおごられている。しかし側板の装飾が欠落してしまっている。ペダルもオリジナルでは無いものが付いていた。ロゴマークも現代のグロトリアンと全く違う。


グロトリアン

スタインウェイの名が入ったフレームのロゴ。ピアノ界の発明家テオドールによる設計なのが分かる。現にこのピアノはスタインウェイB型のプロトタイプと言える。


グロトリアン

このピアノが旧式たる部分。総アグラフ+オープンフレームの鉄骨。この数年後にはテオドールがカポダストロバーを採用し総アグラフが廃止され、ピンまで鉄骨が覆うようなピアノがスタンダードになる。


グロトリアン

旧式ピアノの名残その2。側板が一体成形でなく二つの側板で継がれている。低音部の角が側板より太くなっているのが分かる。一体成形の側板の製造方法をテオドールが後に開発する、それ以降側板は一体型がスタンダードとなる。


グロトリアン

非常に興味深い設計がなされている低音側の響板。ボルトと金具でボディ側に接続されている、これは1865年製のスタインウェイには見ることができなかった特徴の一つである。どういった効果を狙った物なのか自分には分からなかった。

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