モデル名:フォイリッヒ モデル名 ミニョン(163㎝)
製造年:1923年製
製造国:ドイツ ライプツィヒ製
張弦方法:通常張弦
フロント側:低音側~低音 アグラフ、次高音~高音部 カポダストロバー
ピン仕様:総鉄骨フレーム
アクション仕様:シュワンダー式アクション
ペダル:2本
鍵盤:88鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀 )
外装:黒艶(オリジナル外装)
今回は愛媛県西予市にある米博物館所蔵の1923年製のフォイリッヒを収録してきました。
こちらの楽器は大正13年₍1924年₎にドイツから当時の東宇和高等女学校に納入された一台になり100年にわたり西予市の歴史を見てきた生き証人となります。
フォイリッヒ社はライプツィヒにおけるブリュートナーに次ぐ第2のメーカーでありました。当時はフォイリッヒ専属ピアニストを抱えるほどにドイツ有数のメーカーとして隆盛を誇っていました。
今回の個体はミニョンと呼ばれる当時のフォイリッヒのカタログで一番小型のモデルとなっています。フォイリッヒといえばやはり歌うような伸びやかで柔和な音色にあります。さらにドイツピアノらしいフランスピアノやアメリカピアノには無い独特のコクと強さをこのピアノも小型ながら十二分に持ち合わせています。
外装はだいぶくたびれていますがオリジナルを色濃く残しており下手に外装修理をされていないのがこの楽器の箱鳴りに一役買っており非常に好印象です。
また奇跡的に響板の状態が良好であり、100年経っているにもかかわらず割れ一つない奇跡的なコンディションを保っています。通常であれば100年も経つと響板は割れていて当たり前のものになります。他にも駒、響棒に至る音に関わる重要パーツが全てオリジナルでありながら非常に健康度が高いのも驚きです。外装のやれ具合からは微塵も想像できないほどに音に関わる部品が驚異的なコンディションです。
アクションはシュワンダー式の旧式なものですが個人的には不満はありません。しかし1997年に修理された際に交換されたハンマーがオリジナルに対して大きいものが入っているせいでタッチが非常にもったりしてリニア感に欠けます。弾けなくはないですがおそらく本来はもっと軽やかでコントロール性の良いものであったと思います。楽器本体のコンディションが良いだけに非常にもったいなく感じてしまいます。
しかしながら楽器本体のポテンシャルとさらに設置場所の米博物館講堂の音響効果と楽器との相性が素晴らしくそんなものは些細な問題に思わせてくれます。
まるでヨーロッパの境界を思わせるような響きを十分に楽しませていただきました。
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