データ
モデル名:シュベヒテン モデル名model.200(200cm)
製造年:1929年製
製造国:ドイツ ベルリン製
張弦方法:総一本張り
フロント側:低音~次高音 アグラフ 高音部 カポダストロバー
ピン仕様:オープンフレーム
アクション仕様:シュワンダー式シングルスプリングアクション(ランガ―社製)
ペダル:2本
鍵盤:88鍵(白鍵: ベークライト(修復白鍵) 黒鍵:黒檀 )
外装:オリジナル外装
動画URL:https://youtu.be/gsxIXzmBOXQ (2021年5月5日公開)
今回は千葉県柏市の音楽教室が所蔵している超稀少なシュベヒテンのグランドピアノを収録してきました。
この教室には1924年製のベヒシュタインと1929年製のシュベヒテンが収蔵されており非常に贅沢な環境になっています。
第4回の1925年製シュベヒテンとはフレームの形状や張弦方法等多くが異なっており非常に興味深い一台でした。
シュベヒテンは戦前の日本ではベヒシュタインやブリュートナー等と同格の一流メーカーとして扱われていました。1902年に創業者のゲオルグ・シュベヒテンが亡くなり、2代目ウィルヘルム・シュベヒテンが継ぎます。しかし第一次大戦以降に生産台数が減り1925年以降財政難に陥ってしまいます。どうにか細々と経営を続けていましたが第二次世界大戦による大打撃と1954年に2代目ウィルヘルムが亡くなると翌年生産が停止されました。
ベヒシュタインと同じ1853年に同じ都市ベルリンで創業したシュベヒテン。今回はこの2台を弾き比べながら楽しませていただきました。
ベヒシュタインに比べて非常にモダンな音のピアノといった印象を受けました。響きの作りは立体感があるのだが音質自体が非常に異なります。ベヒシュタインは音の立ち上がりが早くまた音色も古風でフォルテピアノの系譜を感じさせるものなのに対しシュベヒテンは音の立ち上がりが柔らかく音は現代的なピアノの音質で良い意味で金属的な輝かしさを感じさせるものになっています。
アクションも同じランガ―製のシュワンダー式アクションが搭載されているのですが音質と調整の入れ方によりシュベヒテンの方がやや重く感じます。
それでも弾きこむうちにこの楽器の特性を掴むことが出来。久しぶりに贅沢な弾き比べを堪能させていただきました。
前回見たシュベヒテンと同じ透かし彫りの譜面台がおごられている。ペダルボックスはベヒシュタインと似ているがその他に外装での共通点は見つけられない。
以前の個体との最大の違いが見れるフレーム設計。前回の個体はベヒシュタインの影響が見れるが今回の個体はグロトリアンに近く見える。
オープンフレームにより剥き出しのピン板。
総一本張りになっている。倍音をなるべく抑え音の純度を高める設計はベヒシュタインに似ている。
シュベヒテンの特徴にもなっているカポダストロバー。裏側にはガイドが付いているのが分かる。アグラフとカポの中間的な役割を担っている。ボールドウィンやイバッハ等でもこういった特殊形状のカポを備えたピアノがある。
ランガ―社製のシュワンダー式シングルアクション。当時としては平均的なメカニズム。
支柱は井桁と放射の中間的な雰囲気。200㎝のモデルとしては支柱が華奢に見える。
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