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【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第39回ヤマハ

更新日:2021年8月24日

データ

モデル名:ヤマハ モデル名 平台20号(170cm)

製造年:1935年製

製造国:静岡 浜松製

張弦方法:通常張弦

フロント側:低音~次低音 アグラフ  次高音~高音部 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨フレーム

アクション仕様:シュワンダー式シングルスプリングアクション(ヤマハ社製)

ペダル:2本

鍵盤:88鍵(白鍵:象牙  黒鍵:黒檀 )

外装:艶消し修復外装

アーリーバードアクロス:https://ebacross.com/


今回は東京の駒込にあるレンタルスペースのアーリーバードアクロスさんにある戦前型のヤマハピアノを収録しに行ってきました。

このピアノ(平台20号)は平台20号→G2→C2と変遷しており現代のヤマハピアノの源流に当たるモデルになります。昭和初期にベヒシュタインの技術者エール・シュレーゲルを招聘してピアノ製造のあらゆることを吸収し外国製ピアノのコピーでなく自社のオリジナル設計で作った最初の世代のピアノになります。

フレームの意匠なんかにベヒシュタインの影響をわずかに見て取れますがオープンフレームのベヒシュタインに対してヤマハは総鉄骨を採用しています。

最初に弾いてみた印象としてはヤマハの音がするのだけれども今のヤマハとは音の伸びと鳴りが全然違います。倍音が現代のものに比べ少なく金属的な音の成分がかなり少ないので派手さはありませんが音数の少ない作品を弾いたときに真価を発揮するように感じました。

実際中音域から次高音というメロディーで使われる音域が明るく伸びやかで更に弾き方次第で様々な表情を見せてくれます。これは今の音の華やかさだけを求めたような安っぽく鼻の詰まった音が伸びのないヤマハとは全くの別物です。

アクションもヤマハ製のシュワンダー式シングルスプリングアクションがおごられています、アクションはコントロール性が結構シビアです。

国産最大手のヤマハピアノが大量生産になる前の手工業品として丁寧に作られていた時代の楽器を十分楽しませて頂きました。


ヤマハ

脚やペダルには装飾が施されている。ヤマハのロゴも現代のものとはデザインが異なっており少し太字になっている。


ヤマハ

ベヒシュタインの影響が多少見て取れるフレーム設計。現代のものとは多少の差異はあるがこのピアノが現代のヤマハの源流となっているのがわかる。


ヤマハ

総鉄骨のフレーム。高音部のフロントセクション(NIPPON GAKKI S.K.K.と銘打たれている部分)のデザインなどベヒシュタインのフレームに似ている。


ヤマハ

通常張弦のヒッチピン側。デュープレックススケールは着いてなく混ぜ物が少ない音作りなのがこういったところからもわかる。


ヤマハ

鍵盤蓋にえぐれが設けられている。弾いていると鍵盤の映り込みが歪んでいて違和感を覚える。


シュベヒテン

放射状の支柱。現代のヤマハとの違いはほとんど見て取れない。


シュベヒテン

美しい足とペダル。当時のヤマハはこのデザインが標準であった。明治、大正時代に比べると安くなったとはいえピアノがまだまだ高級品だった時代の名残である。


ヤマハ製のアクション。この楽器が作られた時代には最新鋭のスタインウェイ式のアクションが普及し始めていた。しかしシュワンダー式シングルスプリングアクションは当時ではまだまだ標準的なものであった。

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