【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第53回大橋ピアノ


モデル名:大橋ピアノ モデル名 model. 210(206㎝)

製造年:1987年製

製造国:浜松製

張弦方法:交差弦 通常張弦

フロント側:低音~次高音 アグラフ、高音 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨

アクション仕様:ダブルエスケープメントアクション(レンナー製)

ペダル:3本

鍵盤:88鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀 )

外装:黒艶出し

動画URL:https://youtu.be/vRKq1fbBEzE (2023年1月4日公開予定)


今回は第51回でご紹介したディアパソンのオーナー様が所有している『大橋ピアノ』になります。 遂に念願の『大橋ピアノ』の210型の収録が叶いました。市販化されなかった第10回の松本ピアノのグランドを抜きにすれば、僅か16台しか製造されなかった国産ピアノで最も稀少な楽器になると思います。 今回の楽器は1987年製ですが前オーナーから現オーナーに受け継がれるときに軽度なオーバーホールを施したようでハンマーが新品に変わっています。 大橋ピアノは1958年に『大橋ピアノ研究所』を設立し、翌1959年に『OHHASHI』の名を冠した第1号ピアノを完成させます。今回演奏した210型は1975年に製作を開始し1978年に試作第一号を製作するほど時間をかけ開発されました。その後1980年に大橋幡岩は84歳で亡くなりますのでこの大橋ピアノ210型が数多くのピアノを手掛けた日本の名工『大橋幡岩』の『白鳥の歌』となります。 今回の楽器は幡岩亡き後87年息子大橋巌によって世に送り出された楽器になります。ぱっと見ではディアパソン210型とフレーム形状や外装などほぼ同一の楽器に見えます。しかし演奏してみるとカワイ製のディアパソン210型とはまるで別物の音がします。音の伸び、音像の明瞭さが特に優れており、現在のディアパソンではなし得ていない『純粋な中立音』を体現していると言えます。素晴らしい完成度の楽器であり非常にオーセンティックな音を作り出すことに成功しています。 弾いてみると楽器のバランスとしては無駄な響きを抑えた設計により現代のピアノに比べ高音域は意識的に弾かなくてはいけない難しさがありますがコツがつかめれば幅広い表現を楽しむことが出来ます。アクションはレンナー製の大型モデルなだけあり鍵盤長があるので良好な弾き心地ですが若干の重さは感じますが気になるほどではありません。 オーナーが非常に大事にしていることが楽器のコンディションや鳴りから容易に想像が出来、また演奏していて非常に楽しい一台でした。

とてつもなく貴重な楽器、大橋幡岩が遺した国産ピアノの至宝を十分に楽しませていただきありがとうございました。


大橋ピアノ

幻のピアノのロゴ。僅か53台だけ生産された大橋のグランドピアノだが210号はその中の16台だけである。


大橋ピアノ

オーソドックスなフレーム設計。音抜き穴に多少の違いが見られるがディアパソンの210型と概ね一緒と思われる。


大橋ピアノ

低音側にアグラフ、中音域~高音域がカポダストロバーとオーソドックスなフロント側の設計。


大橋ピアノ

ヒッチピン周りには無駄な響きを無くすための消音のフェルトが付いている。大橋は混ざりけの無い純粋な音を目指しているのが分かる。

大橋ピアノ

ピンからカポまでの部分に面白い形状のアッパーブリッジがある、無駄な響きを減らす設計思想によりアッパーブリッジが無駄に響かない工夫がなされている。しかもアッパーブリッジからピンの間はフェルトによって消音されるほどの徹底ぶり。


大橋ピアノ

低音弦側の駒。駒の空洞のデザインが特徴的である。


大橋ピアノ

製造番号と大橋ピアノ研究所の住所。ダイモテープがなんともいい味を出している。


大橋ピアノ

シンプルなペダル。大橋幡岩はディアパソン時代からピアニストの意見を取り入れピアノの改良を行い国産ピアノのなかではかなり早い時期から3本ペダルを採用している。


大橋ピアノ

井桁状に組まれた支柱。ケースを堅牢にすることで響板だけを鳴らし高張力を支えるための工夫が見て取れる。


大橋ピアノ

フレームにある『大橋幡岩』の刻印。ディアパソン210型との最大の違いはこのネームの有無である。

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