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執筆者の写真西野 智也

【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第54回スタインウェイ

更新日:2023年4月30日


モデル名:スタインウェイ&サンズ モデル名 D-274(274㎝)

製造年:1964年製

製造国:アメリカ ニューヨーク製

張弦方法:交差弦 通常張弦

フロント側:低音~次高音 アグラフ、高音 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨

アクション仕様:ダブルエスケープメントアクション(スタインウェイ製)

ペダル:3本

鍵盤:88鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀 )

外装:黒半艶出し

動画URL:https://youtu.be/M-0qdhQVBSA (2023年2月1日公開予定) 撮影協力:日本ピアノサービス


今回は関西圏でスタインウェイで有名な日本ピアノサービスさんでスタインウェイのフルコンサートピアノを収録してきました。 遂に念願のCDナンバーのスタインウェイを収録することが出来ました。【CDナンバー】とはニューヨークスタインウェイのConcert Dの略でありスタインウェイのコンサート部門の貸し出し用フルコンサートピアノであり一般のD型とは別にコンサート部門の選ばれたトップ技術者(この楽器が作られたころだと恐らく数名)が丁寧に仕上げた特別な一台なのである。有名な個体だとホロヴィッツの愛したCD75やCD443、グールドが愛用したCD318等があり有名アーティストの専属楽器を除けばこれらCDナンバーの楽器は選定用に常時数十台保管されており数年で入れ替えを行っています。この入れ替え時にお役御免となった楽器が一般に中古として売りに出されるのです。そんな楽器が今回の一台です。 ぱっと見は譜面台以外何の変哲もない【普通】のスタインウェイ、フレームの製造番号を見るとそこには確かにCD241と明記されています。実を言うとCDナンバーのスタインウェイは人生で演奏2度目だったのですが相も変わらずトンデモナイ鳴り、音というか最早地鳴りのような強烈な低音に、スタインウェイの代名詞ブリリアントな高音しかしその音質は耳障りなところは全くなく鈴の音のような印象さえ受けます。 鳴りだけでなく伸びも申し分なく大盛りのボリュームを誇る両音域に挟まれた中音域も一切負けることなく朗々と歌ってくれます。往年のスタインウェイはこの高音、中音、低音の三層が絶妙のバランスで混ざり合い綺麗な立体感を生み出し音楽に素晴らしい陰影をつけてくれます。正直この楽器を経験しちゃうと世の中のホールにある普通のスタインウェイははっきり言ってただ音量が大きいだけの凡庸な楽器に感じてしまうほどの格の違いです。 アクションの弾き心地やコントロール性は安定のスタインウェイすべてが思いのままです。ただしこの楽器のポテンシャルを引き出すにはかなりの腕前が必要だと思います。現代の誰でも上手に弾ける退屈なハンブルク製とはまるで違う【本物の】スタインウェイ、その刺激は一度味わってしまうと忘れることは出来ないでしょう。

日本ピアノサービス様、王者の風格漂う本物のスタインウェイ十分に楽しませていただきありがとうございました。


スタインウェイ

豪華な透かし彫りの譜面台が奢られた一台。前倒し式の譜面台やペダルのメタルプレート等ニューヨーク製の証となる。


スタインウェイ

選ばれしニューヨークスタインウェイのD型にのみ許されたCDの文字とCDの個体識別ナンバー。


スタインウェイ

19世紀後半から変わらないスタインウェイの鉄骨デザイン。時代によってパテント等の刻印の有無や音抜き穴の装飾、補強バーなど微妙な差異があるが基本設計は変わらない。


スタインウェイ

5セクションに分けられたピン周り。大型のC型とD型のみがこの方式を採っている。


スタインウェイ

低音弦の駒とその周りも昔から変わらない設計。


スタインウェイ

高音側のヒッチピン周辺。デュープレックススケールがスタインウェイならではの高音の音色を作り出すのに一役買っている。


スタインウェイ

中音域のヒッチピン周辺。後付けされた斜めに入っている補強バーがスタインウェイの特徴、時代によってこのバーの取り付け位置などが変わっている。


スタインウェイ

スタインウェイの代名詞トレブルベル。楽器全体を響かせる設計思想がこのパーツからも見て取れる。

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