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【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第61回J&Pシードマイヤー

更新日:2023年12月1日


モデル名:J&P.シードマイヤー モデル名 モデルC(194㎝)

製造年:1925年製

製造国:ドイツ シュトゥットガルト製

張弦方法:通常張弦

フロント側:低音~中低音 アグラフ、次高音~高音 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨

アクション仕様:シュワンダー式シングルスプリングアクション(レンナー社製)

ペダル:2本

鍵盤:88鍵(白鍵:アクリル 黒鍵:黒檀 )

外装:艶消し黒(修復外装)

動画URL:https://youtu.be/Yk0_X9cUa7A (2023年9月6日公開予定) 撮影協力:東京ピアノマーケット


今回はJ&Pシードマイヤーのグランドピアノを収録してきました。

毎度お世話になっている東京ピアノマーケットさんに『かなり良いシードマイヤーが入ったから是非弾きに来てください。』とお誘いをいただいたので喜び勇んで収録しに行きました。 まずは日本ではほとんど聞き馴染みが無いであろうシードマイヤー社の解説から。 シードマイヤーは1735年にオルガンとピアノ製作家であったバルタザール・シードマイヤーは最初の楽器(クラヴィコード)を完成させシードマイヤー社の歴史が始まる。バルタザールには三人の息子がおり長男ヨハン・クリストフ・ゲオルク・シードマイヤー、次男アダム・アハティウス・シードマイヤー、三男ヨハン・ダーフィト・シードマイヤーがいずれも楽器製作家として名を馳せていました。

特に三男ヨハン・ダーフィトは当時から優れた製作家として高く評価されました。彼は父から製作の基礎を学んだ後、有名なアウグスブルクのシュタインの下で製作を学び。1781年に父が亡くなると独立し工房をニュルンベルクに構えました。

ダーフィトの息子であるヨハン・ローレンツ・シードマイヤーも父の下でピアノ製作を教わると工房を引き継ぎます。しかし1806年ににニュルンベルクがバイ エルン王国に併合されると若いピアノ職人カール・フリードリヒ・デュドネと出会い二人はシュトゥットガルトに移り『デュドネ&シードマイヤー』を設立するとたちまちその楽器の評判はシュトゥットガルト外にも広がりました。

1825年にデュドネが亡くなる。ローレンツには4人の息子と1人の娘がおりいずれもがピアノ製作家となりました。ローレンツは長男アドルフと次男ヘルマンを会社の共同経営者とし1845年に『シードマイヤー&ゼーネ』を設立。三男ユリウス、四男パウルはパリでハルモニウム製作の修業を積ませます。1853年に工場近くにハルモニウム工房を建設。これが今回の楽器を製作したドイツ初となるハルモニウム製造上『J&Pシードマイヤー』となります。

シードマイヤー社はピアノを『シードマイヤー&ゼーネ』、ハルモニウムを『J&Pシードマイヤー』と分業体制が敷かれていましたが1860年に父ローレンツが亡くなるとその遺志とは裏腹に『J&Pシードマイヤー』(後にシードマイヤーピアノ工房に改名)がピアノ製作を開始すると『シードマイヤー&ゼーネ』もハルモニウム製作に参入し競合関係になってしまう。

1861年に次男ヘルマンが亡くなるも、しばらくはアドルフは会社を一人で支えいたが世界のメーカーで修業してきた息子アドルフと甥ヘルマンが補佐するようになるとシードマイヤーはこの時期に最盛を誇るようになる。また1890年から『シードマイヤーピアノ工房』ではチェレスタの製作を開始する。 20世紀に入ると他のドイツメーカーと変わりなく第一次大戦により人材や資材が不足し始めると、第二次大戦によりシュトゥットガルトの工場は土台までもが焼き尽くされ会社は大打撃を受けます。 1969年にヘルマンの孫であるゲオルク・シードマイヤーが『シードマイヤーピアノ工房(旧J&Pシードマイヤー)』を買収し会社は一つに纏まるが会社の再興叶わず1980年にピアノの生産を中止します。しかしシードマイヤーの名は現在でもチェレスタのメーカーとしてゲオルクの妻エリアンヌによって守られています。

そんなバッハの時代から鍵盤楽器を製作していたシードマイヤー。今回はユリウスとパウルが起こしたJ&Pシードマイヤーの一台になります。

シードマイヤー&ゼーネと違いピアノ製作メーカーとしては後発組のJ&Pシードマイヤーは当時影響力のあった幾つかのピアノメーカーの影響を受けてピアノを製作したことが分かります。特にスタインウェイからの影響はとても大きく口棒と一体化されている拍子木やフレーム形状等からも見て取れます。 音の印象的にもスタインウェイ的な立ち上がりの速い発音でありながらドイツピアノの様な太く豊かな音がします。特に低音側は素晴らしい鳴りを誇りズドンと腹にくるような音のうねりと伸びを感じます。中音域や高音域にはドイツピアノ的な要素が強く感じられますが圧倒的な個性で魅了する楽器というよりかは全体のバランスの良さを味わう楽器という印象です。ベヒシュタインの様に中立的な混ざりにくい響きの要素も持ち合わせており色々なピアノメーカーを研究したうえで製作された後発メーカーらしい一台といえます。 アクションも当時の標準的な物ながら状態も良くしっとりとしたタッチ感で操作性も悪くありませんでした。

東京ピアノマーケット様今回も素晴らしいピアノを楽しませて頂きました。


タローネ

パッと見た感じは譜面台の透かし彫りや脚の形状などベヒシュタインのような雰囲気を感じる。


タローネ

フレームの形状はオーソドックスなものであるがどことなくスタインウェイを参考にしているような印象を受ける。


タローネ

オーソドックスなフレームのフロント部。カポダストロバーと低音弦の部分に分けて受賞歴をフレームに刻印している。


タローネ

イボイボが多くついた音抜き穴が印象的なフレームの後ろ部分。この部分にはこの楽器特有のものを見出すことはできなかった。


タローネ

J.&P. SCHIEDMAYERの刻印。同族経営の会社でSCHIEDMAYER&Söhneというのがすぐ近所にあって非常に紛らわしい。


タローネ

カポに刻印された受賞歴。左からパリ(フランス)、セントルイス(アメリカ)、ルーベー(フランス)、トリノ(イタリア)、ライプツィヒ(ドイツ)のものになる。


タローネ

拍子木と口棒が一体化された鍵盤蓋。これは明らかにスタインウェイの影響を受けていることが分かる部分。



タローネ

シュワンダー式のシングルスプリングアクション。この年代のドイツピアノとしては平均的なもの。


タローネ

支柱も放射型になっている。筐体の大きさのわりにかなり華奢な印象を受ける。

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