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【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第69回ボールドウィン


モデル名:ボールドウィン モデル名 Model M(157㎝)

製造年:推定1930~40年台製

製造国:アメリカ シンシナティ製

張弦方法:通常張弦

フロント側:低音側~低音 アグラフ、次高音~高音部 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨フレーム

アクション仕様:シュワンダー式シングルスプリングアクション

ペダル:2本

鍵盤:88鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀 )

外装:マホガニー(オリジナル外装)


今回は日本国内では珍しい戦前のボールドウィンのグランドピアノを収録してきました

ボールドウィンはスタインウェイ、メイソンと並ぶアメリカ有数のピアノメーカーでしたが日本国内ではスタインウェイ以外のアメリカメーカーはあまり見かけることがありません。

日本でもボールドウィンなどの大多数のアメリカピアノは量産スピネットピアノの印象のせいか粗悪なピアノのイメージを持たれてしまっています。しかし往年のこれらメーカーはヨーロッパ製ピアノと同等の品質で非常に優れたものでした。

今回ご紹介するボールドウィンなんかも非常にアメリカ由来の豪快な鳴りとヨーロッパ製とは一味違った明快な音色が魅力的なメーカーになっています。

こちらの楽器は以前オーバーホールされた段階で製造番号が消されてしまっており推定での製造年代判定になってしまいますが、おそらく鍵盤蓋の構造、ロゴや鉄骨の意匠、ペダルの本数などから30年台~40年代の頃の物ではないかと思われます。

アメリカピアノらしい鳴りと明朗快活な音色はこの小型ピアノでも十分に味わうことが出来ます。

今回の楽器も東京ピアノマーケットさんでフルオーバーホールが施された楽器となっています。入荷時の状態はお世辞にも良い状態ではなかったですが、古い楽器に精通した修復がなされておりこの楽器本来の音と弾き心地が蘇っております。

飾り文字のロゴ、通常のピアノと同じ鍵盤蓋(もっと古いものは折り畳み式になっている)、鉄骨にあるトレードマークや音抜き穴のデザイン等からどんなに古くても1930年代から戦後直後位のものと思われる一台になっています。

非常に気持ちよくなる楽器ですが同じくアメリカ製のスタインウェイとは少し違った音の鳴り方。うねりのある迫力あるスタインウェイに対してストレートな響きがします。まさに天真爛漫なピアノとでもいうのでしょうか、素直で癖のない音色のように感じました。

アクションも当時としては標準的なシングルスプリングの物が搭載されており、よく鳴る筐体と相まって小型ピアノとしてはかなり軽快な弾き心地になっております。

日本ではまだまだ評価と知名度の低いアメリカピアノですが20世紀初頭には音楽の一大消費地として栄え多くのピアノメーカーが今回の楽器の様に素晴らしいものを作っていました。

そんな古き良きアメリカンサウンドを十二分に楽しませていただきました。


ボールドウィン
飾り文字のロゴマーク。鍵盤蓋も普通のスタイルになっている。譜面台はアメリカピアノらしく前倒し式になっている。


ボールドウィン
どことなくスタインウェイっぽさを感じる鉄骨。鉄骨に色々な記載がされているのがいかにも戦前のアメリカピアノらしさを感じる。


ボールドウィン
手前にもデュープレックススケールが設けられている。鳴らすための工夫が見られる。


ボールドウィン
ヒッチピン側にもデュープレックススケールが設けられている。この辺りはアメリカピアノらしいなりに寄与している。


ボールドウィン
ボールドウィン社のトレードマーク。このトレードマークも新しいものには見られなくなっている。

ボールドウィン
小型ながらしっかりとした支柱が平行に組まれている。


ボールドウィン
シュワンダー式のシングルスプリングアクション。しっかりオーバーホールされているので小気味いい弾き心地をしている。


ボールドウィン
スタインウェイと同じ枕木と一体型の鍵盤蓋。こんなところからもスタインウェイの影響が見て取れる。


ボールドウィン
ペダルの意匠も非常にシンプル。いち早く三本ペダルが普及したアメリカで二本は結構珍しい。

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