データ
モデル名:シュタイングレーバー モデル名不明
製造年:1914年製
製造国:ドイツ バイロイト製
張弦方法:通常張弦(アリコート、デュープレックススケール無し)
フロント側:低音側 ベアリング、中音~高音部 プレッシャーバー
ピン仕様:総鉄骨フレーム
アクション仕様:イギリス式アクション
ペダル:2本
鍵盤:85鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀)
外装:ウォルナットの寄木細工(オリジナル外装)
友人のヴァイオリニストの為に選定した楽器です。ウィーンに長く滞在していた方で音に対するこだわりが非常に強い方なので楽器選定には苦労しました。留学先がウィーンだったこともあり音の趣向的にもドイツピアノが良いと思い色々奔走していた折に突如紹介により出会った一台でした。
シュタイングレーバーは1820年にゴットリーブ・ シュタイングレーバーによってチューリンゲン州のアルンシャウクの町で始まり、1852年ドイツのバイロイトに2代目エドワルド・シュタイングレーバーによって創業した老舗ピアノメーカーで数多くのピアノを弾いたリストが最後に辿り着いたピアノでもあった。 今現在6代目ウド・シュミット=シュタイングレーバーの下で昔ながらの工法で1台1台職人により手造りされている。
シュタイングレーバーはこの楽器に出会う以前に最新モデルを弾いたことがあり、そのあまりの出来の良さに吃驚したメーカーでした。その期待を裏切ることなく更にその上をいく衝撃を与えてくれたのがこの一台でした。
まず何よりも驚いたのがその鳴りの凄さ、それもただ大きいのではなく一切品格を損なうことなくオペラ歌手の様に朗々と歌ってくれるのです。音質はあくまでも暖かく丸みがあり透明感もありますが金属的な成分は全くありません。
木製レールを備え古めかしく見えるアクションも弾き心地に関して一切の不満が見つかりません、アップライトなので物理的な限界はありますが演奏者のタッチを正確に拾い上げ素晴らしい筐体と響板によって見事に表現してくれます。
運命的な引き合わせにより出会った一台でしたが非の打ち所の無い素晴らしい楽器でした。
手工芸品としても大変に美しい外装。目の美しい木を贅沢に使い寄木にしている、縁の飾りやダイヤ型の装飾も非常に細かく芸が細かい。
楽器が作られた当時ですら少数派であったであろうレールが全て木製のアクション。かなりの時間と手間をかけてシーズニングされた木なのだろう、100年たった今でも快適に動作している、これは驚くべきことである。
かなり特徴的な低音部のベアリング部。土台が木製で出来ているのは自分の知る限りシュタイングレーバー以外では見たことがない、フレームへの取り付け方法はどうなっているのか表からでは確認できなかった。
下前板を外した状態。この写真でも響板の柾目が美しく均一にそして密に入ってるのが分かる。この響板こそがシュタイングレーバーの鳴りを支えているといっても過言ではない。
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