第1回ピアノ講座【オールドスタイルとモダンスタイル】その1

最終更新: 2020年10月13日

今回から新シリーズとしてピアノを更に面白く弾き聴くためのピアノのちょっとした基礎知識をお届けしようと思います。

第1回は【オールドスタイルとモダンスタイル】としてピアノの種類にまつわるお話をお届けします。

さて、ここで【種類】と言われてもあまりピンとこないかと思います。ここでは種類を基本構造の違いとして解釈していきます。そして各メーカーのピアノを設計上の分類分けをしてみようと思います。

まず現代のピアノには大きく分けて3つのタイプが存在しています。


・1つは現代主流となっているスタインウェイ&サンズやヤマハ、カワイ、ファツィオリ等を筆頭とした音響工学を基礎として19世紀末に完成された基本設計を基にする現代的なモダンタイプ。


・もう1つはベーゼンドルファーや20世紀までのベヒシュタイン、エラール、プレイエル等の昔ながらのフォルテピアノの流れを汲むオールドタイプ。


・そして第3の勢力であるブリュートナーやイバッハ、グロトリアン等のオールドとモダンの中間組。


造られた年代によっても違うのだが大まかに分けるとこんな感じである、それではこれらのタイプにはどのような設計の特徴とそれに起因する音の特徴があるのか見ていきましょう。

モダン代表スタインウェイ(左)とオールド代表のベーゼンドルファー(右)



・設計思想の違いは使用環境の違い。


オールドタイプのグループは基本的に大きなコンサート会場よりはサロンや教会、中小規模の響きの良いコンサートホールで使うことを前提として設計されています。それに対しモダングループは1000人を超える大型ホールやスタジアム、野外コンサートや響きの悪い多目的な場所での使用に耐えうる設計がなされています。スタインウェイがオールドスタイルを1860年代には捨て今のスタイルを確立したのも当時のスタインウェイの主戦場であるアメリカがそういった環境がありふれていたからでもあります、現代の様に野外コンサートでも機械的に音を拡大することが出来ませんでした、そんななかで最後列のお客さんにまでピアノの音を届ける必要があったのです。それに比べオールドスタイルの主戦場はヨーロッパでしたヨーロッパでは響きの良い会場が楽器の響きを補ったので煌びやかで派手な音は必要ありませんでした。これら使用環境の違いが設計上でも大きく現れています。中間組の出現は演奏家の要求の変化とスタインウェイによる技術革新がもたらした影響によります、したがって中間組はスタインウェイを参考にしつつ自社のアイデンティティを守った形で生まれました。よって全体を見るとオールドスタイルとモダンなスタイルが混ざっておりその比率はメーカーによりかなり変わっています。



1.鉄骨を鳴らす?鳴らさない?



モダン組のピン周り左からシュタイングレーバー、ヤマハ、ファツィオリ、シゲルカワイ



オールド組の左からプレイエル、ベーゼンドルファー、ベヒシュタイン、グロトリアン


まずモダン組とオールド組で決定的に違うものがありますそれは『金属フレームを共鳴させるか否か』です。ここが決定的な音の差になります。モダン組は鉄骨を共鳴させ音の増強に使います、これを各社色々な工夫を凝らし金属的な音は消しつつキラキラした華やかな音の成分を響板の響きに加えています。それに対しオールド組は金属的な音の成分を徹底的に排除する設計が為されています、響板を中心とした木だけによる共鳴を理想とし温かく丸みのある音が鳴る楽器が多いです。これはオールド組の起源が鉄骨フレームを持たないフォルテピアノが音の出発点にあるからでしょう。

両タイプの一番分かり易い差として上の写真のピン周りのフレームに注目してください。

モダンタイプは金属フレームで覆われているのに対してオールドタイプはピンが打ち込まれているピン板という部品が剥き出しになっています。当然モダンタイプも金属フレームの下にこのピン板があるのですが覆われて見えません。強度を考えたら20トンを超える張力を支えるのですから当然ピン板を金属で覆い保持を助けた方が良いに決まっています、では何故剥き出しなのかというと金属フレームに音の発生源である弦とピンに触れさせたくないからですまたピンをしならせることによって伸びのある音色も作っています、因みにこの構造をオープンフレームと言いフォルテピアノ由来の古い構造になります。


ベーゼンドルファーのオープンフレーム(現行モデルでもオープンフレーム採用)


長くなりましたので続きは次回!!

次回はピアノの裏側の違いも見てみましょう!!

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