第1回ピアノ講座【オールドスタイルとモダンスタイル】その2

最終更新: 2020年10月13日

2.ピアノの裏側

ピアノの支柱(左からガヴォー、シュタイングレーバー、グロトリアン)


支柱とはピアノの裏側に組まれた20トン近くの張力を鉄骨と共に支える大事な部品であるとともに音作りの思想が見える面白い部分でもあります。



・オールドスタイル


左からガヴォー、エラール、戦前型イバッハ、戦前型ベヒシュタイン、ベーゼンドルファー


井桁型の張り巡らされた支柱、フレームに金属が使われる以前のフォルテピアノの名残になります。金属フレーム発明以前は支柱が弦の張力を支えていたので非常に頑丈に組まれています。上のガヴォー、エラール、イバッハ、ベーゼンドルファーは典型的な井桁が組まれています、それに対しベヒシュタインは横方向を低音弦に平行に組むことによって菱形の井桁になっています。

この構造のピアノは基本的に側板と支柱が一体となって強固なケースを作り上げ響板が無駄なく振動する土台となっています。堅牢に組まれた支柱が側板やフレームの共振を抑制するので純粋な響板の鳴りを引き出すことが出来ます。例外的にベーゼンドルファーは井桁型の支柱を用いていますが特殊な側板の製法を用いることでケース全体を鳴らすようにしています、あのベーゼンドルファー特有の温かい音は木全体を振動させることで作っているのです。



・モダンスタイル


左からシュタイングレーバー、シゲルカワイ、ボールドウィン、ゲールアポロ、スタインウェイ


弦に対して平行で放射状に張られた支柱、金属フレーム、側板、支柱が三位一体となってお互いがお互いの響きを共有し楽器全体が鳴るような構造になっています。金属フレームが発明され発達したことにより支柱にそこまでの強度が必要無くなったことで音響力学により生み出された合理的に響板の音を増幅させる為の形状になります。上の写真でも程度の差はあれ基本的な仕組みは同じになります。大型の機種(写真ではボールドウィンとスタインウェイ)になると多少横方向への支柱が追加されますが井桁の様に一直線に張られることは無くあくまで必要最低限にとどめられています。結果として響板だけでは得られない輝かしく力強い音を鳴らすことに成功しています。



・その他


上からグロトリアンとイースタインの150号、メイソン&ハムリン


結論から言うとその他はスタインウェイとは違う手法で楽器全体を鳴らす工夫を凝らしたものです。特に特徴的なものがグロトリアンのX支柱とイースタイン150号で用いられているU型支柱とテンションレゾネーター、そしてテンションレゾネーターを発明したメイソン&ハムリンではないでしょうか。グロトリアンのX支柱に関しては井桁と放射の良いバランスをグロトリアンの音哲学により導き出した答えの一つだと思います。実際にグロトリアンのピアノは温かい音を持ちつつ豊かな鳴りを実現しています。

イースタインのU型支柱に関しては他に例が無いイースタイン独自のものでテンションレゾネーターと合わせることによって絶妙なしなりをケースに作り小型グランドでも音を豊かにさせる狙いだと思われます。

さて何度も出てきているテンションレゾネーターですがこれは写真に写っている細い金属の棒がそれになります。金属の棒を内側に引っ張る方向に負荷をかけることにより木ならではの変化を抑制し響板の反りを長期間適正に保持するのが目的です。さらには音の振動をケース全体に伝える役割を持っています。メイソンは引っ張る方向に設置するにあたり側板の強度を確保するため他メーカーより厚みを持たせています。



このように各メーカー独自の哲学を持って裏側の設計もしています。

さて2回に分けてもの凄くざっくりとした分類分けでピアノの表と裏からオールド、モダンとミックスで種類分けましたが各タイプの大まかな構造の違いが分かったでしょうか?

フレームと支柱の設計を見るとそのピアノがどういう音を目指しているのか分かって面白いですよ。弾き手にとってもこの構造の差を知ることで演奏へのアプローチが変わりますよ、設計の異なるピアノは当然鳴らし方も変わってきます。ピアノの構造を知ることは上達への近道になります!


第2回ピアノ講座はピアノの音の出る仕組みを解説しますのでお楽しみに!!

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