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第2回ピアノ講座【ピアノの音が出る仕組み】

更新日:2020年10月13日


ピアノ講座第2回は意外と知らないピアノの音が出る仕組みを見ていきましょう!


ピアノの構造

1.有効弦


ピアノは基本的に弦をハンマーで叩き振動させその振動を響板が増幅させ音が出る仕組みになっています。

ピアノは調律時に回すチューニングピンと固定のヒッチピンという2つの部品で弦を張っています。

しかし弦をただ張っただけでは正しい音程は作れません、正しい音程を作るためには決められた太さの弦を決められた長さに弦を調整し正しい張力にする必要があります、そうしなければピアノは正しい音が出なくなってしまいます。




ピアノの構造

さてピアノの1本の弦には音程を司っている部分とそれ以外の箇所があります。

左の写真を見てください、水色の部分この箇所が有効弦の部分です。ハンマーが叩き実際音程を作って人の耳に聴こえている音はこの有効弦が鳴っている箇所だけです。

白でマークしたチューニングピンから有効弦の支点までを前方弦、ピンクでマークした駒と呼ばれる部品からヒッチピンまでを後方弦と言います。各メーカーは前方弦と後方弦に様々な工夫を凝らし響きを作っていますがこの部分の紹介は次回にしましょう。

そして前方弦、後方弦と同様有効弦の張り方にも各社の特色が見えるので見ていきましょう。




2.有効弦の張り方

ピアノの構造

ベートーヴェン等が活躍していた18世紀ごろの旧式の楽器はベアリングによって有効弦の支点を作っていました、しかし1809年にエラールがアグラフを発明するとグランドピアノではアグラフによる固定が次第に主流となりました。

アグラフは金属の穴の開いた部品に弦を通しフレームに固定することで安定した音程と立体的な音を作り出す効果があります。しかし時代が進み1870年代にスタインウェイがカポダストロバーを発明するとその音の増強効果とアグラフを使わないことによる整備性と経済性が注目され、より効果の大きい高音部に各社積極的に採用されるようになるとグランドでは低~中音域がアグラフで高音域にカポダストロバーが採用されるようになりました。

ピアノの構造



スタインウェイの設計がピアノ界を席巻し始めると各メーカーはスタインウェイを追従したり、ボールドウィンやイバッハ等は独自の方法でスタインウェイのカポダストロバーと同等の効果を持った部品を設計しました。一方でベヒシュタインは総アグラフにこだわり21世紀に設計が変更されるまでアグラフのサイズ変更などを行い昔ながらの方法で設計していました。ではこの革新的なカポダストロバーとはどういったものなのでしょうか?



ピアノの構造

カポダストロバーとは高音部に張られた横向きの鉄骨支柱でその鉄骨で弦を押さえつけて有効弦を作るというものです。これにより弦の振動をフレームに伝え輝かしい音を可能としました。









写真は上から、スタインウェイのカポダストロバー、カポダストロバーの接弦部アップ、ベヒシュタインの総アグラフ、ボールドウィンの特殊ガイド、イバッハの特殊ガイド





3.駒


ピアノの構造

有効弦を鳴動させ音を出す方法までは分かりました。

しかしそれだけではピアノの本来の音にはなりません、有効弦の振動を響板に伝える必要があります。

有効弦のヒッチピン側の支点には駒と呼ばれる木製の堤のような部品があります。この駒にはチューニングピン一本ごとに2本ピンが打ち込まれておりこれがベアリングの役目を果たしています。一音に二本打ち込むことにより弦を屈折させ有効弦の振動を安定させる効果があります。

有効弦のヒッチピン側の支点には駒と呼ばれる木製の堤のような部品があります。この駒にはチューニングピン一本ごとに2本ピンが打ち込まれておりこれがベアリングの役目を果たしています。一音に二本打ち込むことにより弦を屈折させ有効弦の振動を安定させる効果があります。そしてこの駒ピンに弦振動が伝わりそれが駒を伝い響板に伝わります。

駒は弦と響板に挟み込まれて接着されており通常のピアノでは低音側の短駒と中高音側の長駒の二つの駒によって構成されています。


写真左、駒と駒ピン、弦1本につき2本の駒ピンが打ち込まれ弦を屈折させて安定させている。右は修理中でフレームを下ろしたベヒシュタイン、響板上に短駒と長駒が分かれて乗っているのが分かる。




4.響板



ピアノの構造

駒から伝わった弦振動が響板に伝わることでようやく我々が知っているピアノの音になります。ピアノの響板は柾目を合わせおよそ15㎝幅の板を何枚も繋ぎ合わせ作られています。響板は右の図のヴァイオリンのように平坦な板ではなく微妙に中央が膨らんだクラウン状に湾曲させ設置されています。この厚みは駒から400キロに及ぶ弦からの圧力を受けたときに平らになるように設計されています。

季節が変わると調律が狂いやすくなる理由はこの響板の反りが湿度により変化し弦への圧力が変化するためです。

また響板自体の厚みや形状も各社独自のノウハウを持って設計しておりその差が音色への違いとなっていますが残念ながら目で見てもその違いは分からないです。

ピアノの構造

そんな響板の裏側には響棒という部品が接着されています。これは響板に弦からの圧力を耐える強度を持たせつつ響板全面に振動を伝える役割を持っています。響棒の柾目は響板の柾目に対して直角に設置されています、音の振動は柾目にたいして平行に伝わるので柾目同士を直角にすることにより振動の伝達に優れ最低音~最高音まで均等に響板を響かせることが出来るのです。



長くなりましたがピアノの音が出る仕組み分かっていただけたでしょうか?

ピアノの素晴らしい音は数々の部品が織りなすハーモニーなのです、それでは音の出る仕組みが分かったとこで次回は各メーカーがその音をどのように独自の色付けをしているのかを見ていきましょう!音作りのヒントは前方弦と後方弦ですよ! それでは次回をお楽しみに!

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