データ
モデル名:ディアパソン モデル名 132型(132㎝)
製造年:推定1947年製
製造国:日本 浜松製
張弦方法:通常張弦
フロント側:低音部 ベアリング、中音部~高音部 プレッシャーバー
ピン仕様:総鉄骨
アクション仕様:イギリス式アクション(ディアパソン製)
ペダル:2本
鍵盤:88鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀)
外装:ウォルナット(オリジナル外装)
澤田写真館HP: https://www.sawadastudio.com/
今回は東京都文京区にある澤田写真館に所蔵されている大橋時代のディアパソンピアノを収録してきました。
現オーナーの祖父が当時購入し今現在も大事にされている個体です。製造から70年程経った楽器はオーバーホールを施され、その完成直後にお邪魔させていただき更に修復お披露目の大任まで任されました。現在ディアパソンはカワイ楽器に吸収されカワイが生産していますが、この楽器はカワイ傘下になる前の貴重な大橋幡岩が指揮を執っていた時代のものになります。
わずか10年足らずしか生産されなかった大橋時代のディアパソンは非常に稀少で後に大橋ピアノとして作られる132型の兄貴分に当たるピアノです。大橋ピアノは4000台以上作られましたが大橋幡岩が手掛けたディアパソンは恐らくその半分以下だったと思われます。自分が《ピアノを聴く動画シリーズ》を録っていく際に大橋時代のディアパソンと大橋のグランドピアノは探すのが非常に難しいと感じていたので本当に運命的な出会いでした。
そんな貴重なピアノをまず弾いてみて感じたのは『箱』が良くなる楽器でした、音がゆっくりと立ち上がり漂うような鳴り方をします。良いアップライト特有のしなやかさの様な柔らかさを感じます、天井高があるサロンなので余計にそう感じますが音がフワッと舞い降りる雰囲気です。以前の松本ピアノでも感じたのですがこの時代の国産アップライトはかなり良いです、真剣に楽器として作られています。現代の価格だけ一人前の安っぽい国産アップライトとは天と地ほどの差があります。
アクションも重すぎずしっかりと弾きごたえのある感触です。新品ハンマーと楽器の鳴り方の特性と相まって指先への感触は柔らかく弾力があります。
大橋幡岩が理想とした楽器たっぷり堪能させていただきました。
非常に美しい木目のウォルナット。外装はクリーニングだけで当時のままというのが良い味を出している。ピアノは箱も大事な共鳴体なので現代の固い塗料を塗ると途端に鳴らなくなってしまう。
いたってオーソドックスな造り。ディアパソン製のアクションも良好な弾き心地。
大橋時代の証である右側板縁の製造番号。大橋ピアノもここに製造番号が刻印されている。ちなみにこの楽器の製造番号1501は創業してすぐのもの。
ペダル回りもいたってシンプルな設計。響板には除響板が入っておりベヒシュタインを参考にしているのが分かる。
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