【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第43回ニーンドルフ

更新日:9月10日

データ

モデル名:ニーンドルフ モデル名 145型(145cm)

製造年:1998年製

製造国:ドイツ ルッケンヴァルデ製

張弦方法:通常張弦 

フロント側:低音~中音 アグラフ、高音 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨

アクション仕様:イギリス式アクション(レンナー社製)

ペダル:3本

鍵盤:88鍵(白鍵:アクリル  黒鍵:黒檀 )

外装:ウォルナット艶出し外装

動画URL:https://youtu.be/HrZb9PzXL1w(2021年10月6日公開)


今回は自分が選定したお客様が所有するドイツのニーンドルフ社製のベビーグランドピアノを収録してきました。まずはマイナーメーカーであるニーンドルフの解説。

ニーンドルフは1896年にヘルマンとカールのニーンドルフ兄弟によりドイツのブランデンブルグ州ルッケンヴァルデに「Niendorf & Hemprich」として創業しました。家庭用の小型~中型のグランドピアノやアップライトピアノを専門としたメーカーとして経営を始め1900年にブランド名として「Gebr. Niendorf」が使用されるようになりました。

1921年には大火事により初代の工場が完全に消失、翌年にはルッケンヴァルデの工業団地へと移転をし「Gebr. Niendorf Pianofortefabrik AG 」として営業を再開する。

1929年には他の大手ドイツピアノメーカーと同様に「Deutsche Piano-Werke AG」(ドイツピアノ工場株式会社)に加盟し世界恐慌を乗り越えるもナチス時代に会社は破産。ドイツのピアノメーカー『Fa. Riese, Hallmann & Co. 』に買収されるがニーンドルフのブランドは存続される。

東西ドイツ時代の1974年には国有化されVEBドイツピアノ組合ライプツィヒ指導の下『ニーンドルフ』『レーニッシュ』『ツィンマーマン』『フップフェルト』『スタインバッハ』『アレクサンダーヘルマン』等の各ブランドで製造された。

1985年にはニーンドルフ社が設計した『ツィンマーマンのモデル145(今回演奏した楽器とほぼ同一の設計)』が各地で称賛を受け受賞された。

1990年に東西ドイツが統合されるとVEBドイツピアノ組合ライプツィヒは解体されニーンドルフはビジネスパートナーを転々とするも純然たるドイツピアノとしてドイツ国内でドイツ製の部品を使い少数の職人により年間50~60台程度の楽器を製造しているメーカーです。

さて今回のニーンドルフですがこのメーカーが最も得意としているベビーグランドになります。145㎝の小さなボディから出ているとは思えない十分な音量と深みがあります。特に中音域の鳴りと伸びが素晴らしくドイツで表彰されるのも納得です。流石に最低音付近では弦の長さの制約から限界は感じますが頻繁に使う音域においては一切の不満を感じさせない充実の響きと深みがあります。同じ小型ぴあのでもフランス製の様な華奢で可憐な印象は全くなく流石のドイツピアノとハッキリ分かるほどのコクと太さがあります。高音域では現在主流となっているスタインウェイを代表とする煌びやかな音ではなく昔ながらのドイツピアノらしい珠の様な音色で非常に分離が良いため耳に優しく狭い空間や響く場所で演奏するのに適しています。

今回の楽器は東西ドイツ統合後の個体なのでアクションが最新式のレンナーが搭載されており操作性も文句無しでした。

貴重な楽器を是非今後も大事にしてあげてください。


ニーンドルフ

奥行き145㎝、横幅145.6㎝とほぼ正方形の大きさのピアノ。150㎝未満のサイズは戦前は多くのメーカーが作っていたが現代では貴重な存在となっている。


ニーンドルフ

フレームのピン周り。低音~中音がアグラフ、高音部がカポダストロバーといたってシンプルな設計、特にこれといった特徴は見つけられない。


ニーンドルフ

鉄骨デザインはドイツピアノにしては華奢な印象を受ける。


ニーンドルフ

小型ピアノは限られたサイズでいかにして低音弦の長さを確保するかが肝になってくる。ニーンドルフの場合は高音部のケースの抉りを浅くして普通のピアノより低音弦を若干きつい角度で交差させて弦長を稼いでいるのが分かる。


ニーンドルフ

ベビーグランドでもしっかりとした放射状の支柱。


ニーンドルフ