【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第44回ガヴォー


モデル名:ガヴォー モデル名 T型(133cm)

製造年:1945年製

製造国:フランス パリ製

張弦方法:通常張弦 

フロント側:低音~中音 アグラフ、高音 カポダストロバー

ピン仕様:総鉄骨

アクション仕様:シュワンンダー式シングルスプリングアクション

ペダル:2本

鍵盤:88鍵(白鍵:アクリル  黒鍵:黒檀 )

外装:茶→ローズウッド、白→シカモア フレンチポリッシュ仕上げ

動画URL:https://youtu.be/K73TfLZSZMc(2021年11月3日公開)

撮影協力:Studio BROCAさん https://www.studiobroca.com/


今回は三鷹のスタジオ・ブロカさんが所有するフランスのガヴォー社製のベビーグランドピアノを収録してきました。まずはガヴォーの解説。

フランスのエラール・プレイエルと共にフランス三大ピアノに数えらるガヴォーは、1847年にガブリエル・ガヴォーによってパリで創業しました。 その後順調に業績を伸ばし1893年に息子エティエンヌに会社を継承。1908年には自社のピアノを広く宣伝するためにコンサートホールを建設しました。それが現在でも有名な「サル・ガヴォ―」です。 世界大戦や世界恐慌により他のフランスピアノと同様に大打撃を受けます。エティエンヌは1943年に死去し、息子のマルセルとアンドレは困難の中でも経営を続けました。 1960年、エラール社と合併し、その後プレイエルも加わりましたが、1965年に倒産、工場は閉鎖となりました。1961年にドイツのシンメル社に買収され1971年から1994年までシンメルで生産されてはいましたがフランス製のガヴォーとはまるで別物になってしまいました。

それでは今回の楽器を見ていきましょう、パッと見た第一印象は当時流行っていたアールデコ様式の変わった脚とペダルが目につきます。しかしこのピアノは蓋を開けたときにその本性を現します、ローズウッドとシカモアのお洒落なツートンカラーが目を楽しませてくれます。音だけでなく視覚でも演奏者を楽しませてくれるのがフランスピアノの魅力です。

今回の楽器はT型と言う名のガヴォー最小のグランドピアノでフランス語で『ひきがえる』を意味する『クラポー』の愛称で呼ばれているます。この当時パリの狭いアパートに適した楽器として非常に人気を博しておりフランスメーカーが激しく競い合っていました。

音を出してみた第一印象はフランスピアノ特有の芳醇で気品あふれる音を残しつつもモダンな雰囲気もある印象を受けました。このモダンな音の雰囲気はプレイエルやエラールには無いガヴォーならではの要素に感じます。133㎝という極小個体から出ているとは思えないほどの余裕の音量と音の伸びで今回の会場で弾く分には音量に関しての一切の不満はありません。以前弾いたことのあるプレイエルのクラポーであるH型は非常に華奢な印象を受けたのですがガヴォーではそんなイメージは一切受けませんでした。もっともプレイエルの場合はメーカー固有の音が繊細で淡い雰囲気があるのでクラポーで余計にそう感じたのかもしれません。

ケース内で音が漂うように残りペダルコントロールが非常に難しい楽器です、ドイツピアノの様に踏むと途端に響きが濁りだし慣れが必要です。このあたりの音作りはフランスのピアノ奏法が密接に関係していると思われます。

アクションはシュワンダー製の標準的なものなのですが何故かフランスピアノに搭載されると3割り増しぐらいで軽く感じます。エラールやプレイエルのような自社設計のオリジナルアクションでもないのにフランスピアノ特有の独特な軽快感があります。

全体的に非常にバランスの良い楽器で目で見て弾いて聴いて楽しいピアノでした。

貴重な楽器を十分に楽しませていただきました。


ガヴォー

この時代フランスで流行っていたアールデコスタイル。ガヴォーのこのツートンカラーは特にモダンな印象を受ける。フランス製の超小型グランドは『ヒキガエル』を意味するクラポー(crapaud)という愛称で呼ばれる。


ガヴォー

133cmの小さなフレーム。エラールやプレイエルと違いこれといった大きな特徴は見受けられない。1945年と戦時中の製作の為鍵盤は象牙ではなくプラスチック製。エラールやプレイエルも戦時中のものは資材節約でプラスチック鍵盤が使われていた。


ガヴォー

フレームのピン周り。ガヴォーはフランス3大メーカーの中で一番現代的な設計。低音~アグラフ、次高音カポダストロバーが採用されている。


ガヴォー

一応支柱が入っている。支柱無しのプレイエルのクラポーよりかは若干強固なケースを形成している。


ガヴォー

アールデコモデルのペダル。非常に近未来的な金属製のペダル支柱。フランスピアノはドイツピアノの様にペダル取り付けがガッチリしておらず若干しなるので慣れが必要。


ガヴォー

閉じても非常に美しい寄木が現れる。ただしこれでもフランスピアノとしての寄木の変態度は低めである。


ガヴォー

アールデコだけあり全体的に直線基調のデザイン。最大の特徴は足とペダルの造形、そしてツートンカラーの見事な調和のとれた美しさであろう。


ガヴォー

シュワンダー製のアクション。やはり独自設計のプレイエルやエラールのアクションに対してオーソドックスなシュワンダーアクション。戦時設計の為か通常金属製のアクションブラケット(アクションを支える部品)が木製で出来ていた。

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