モデル名:ヤマハ モデル名 竪型2号(130cm)
製造年:1930年製
製造国:日本 浜松製
張弦方法:通常張弦
フロント側:低音 ベアリング、中音~高音 プレッシャーバー
ピン仕様:総鉄骨
アクション仕様:イギリス式アクション
ペダル:2本
鍵盤:85鍵(白鍵:アクリル 黒鍵:黒檀 )
外装:黒(修復外装)
動画URL:https://youtu.be/VINLXDU-xD4(2021年12月1日公開)
撮影協力:東京ピアノマーケット https://www.tokyopiano-market.com/
今回は初期ヤマハの貴重な一台を収録してきました。 毎度恒例の『東京ピアノマーケット』さんで面白い楽器が入ったので見に来てくださいとご連絡をいただき喜び勇んで見に行きました。
今回のピアノは昭和5年製のヤマハ竪型2号で大正期のヤマハを代表するモデルになります。今回のモデルは昭和になって製造されたモデルですが設計は大正時代のままのものになります。大きく分けてヤマハのアップライトは明治期(カメンモデル等)、大正期(今回のピアノ等)、昭和初期(竪型100号等)、昭和中期以降(U1、U2等)と設計が変遷しています。
昭和初期以降、経営方針が安価な楽器を大量生産へとシフトしていくのでヤマハのアップライトが一台一台贅沢に作られていた時代のものになります。
外装は再塗装され新品同様になっています。残念ながらオリジナルのロゴが現代の物に勝手に変えられてしまったようで当時の太字のYAMAHAでないのが何とも残念ではあるが音には影響ないので目をつぶります。外装は当時としては一般的なものではあるが今のピアノよりモールや飾り脚など凝って作られています。
肝心の音ですが現代のヤマハを想像して弾くとあまりの違いにびっくりさせられます。なんといっても鳴りや音の伸びが全然違います。音色も明らかに現代の物と異なり柔らかく木目調の音をしています。オーバーホール直後ということもありまだ音に若干の音像のぼやけを感じはしますが弾きこんで馴染んでくるともっと音に立体感と伸びが出てきそうです。
アクションはヤマハ製の物が搭載されており弾きづらくはありませんが正直ヨーロッパ製のに比べ鈍さを感じます。
しかしコントロールの難しいアクションも使いこなせれば現代の物より遥かに多くの音色やニュアンスが出せるので弾いていて楽しい楽器でした。
『東京ピアノマーケット様』今回も貴重な楽器を十分に楽しませていただきました。
残念ながら今回のピアノは蓋の『YAMAHA』のロゴが現代のものに取り換えられてしまっている。
今回の竪型2号は大正時代から作られている。次世代の昭和型のモデル竪型100号は廉価で500円~だったがこのモデルは800円~と高級だった。これは現在の貨幣価値だと竪型100号が200万円程、竪型2号は320万円程になる。
ベアリングとプレッシャーバーと非常にオーソドックスな設計。5桁の製造番号が誇らしげである。
トレードマークは現代のものと少しデザインが違う。三本の音叉をあしらったヤマハのトレードマーク。
張弦方法は通常張弦で下側も特に珍しい設計はみられない。
ヤマハアクション。アクションレールが木製だが基本的なところは現代のものとあまり変わらない。
古いヤマハのアップライトは裏側に製造番号が刻印されている。令和2年現在6500000を数える製造番号もこのピアノでは僅か13530しかない。13000という数字は現在のヤマハの1年分の製造台数である。
銘板はNippon Gakki Seizou Kabushiki Kaisha(日本楽器製造株式会社)の略。明治~大正期のピアノはNippon Gakki Seizou Kabushiki Kaishaとロゴが入っていたが外国で名前が長すぎて覚えてもらえないとの理由でYAMAHA表記に変えた。
Comments