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【《ピアノを聴く動画》使用ピアノ紹介】第48回エラール(スクウェアピアノ)


モデル名:エラール モデル名 model. Piano carré Pieds en X

製造年:1842年製

製造国:フランス パリ製

張弦方法:平行弦 総一本張り

フロント側:総アグラフ

ピン仕様:半鉄骨

アクション仕様:シングルアクション(エラール製)

ペダル:2本

鍵盤:78鍵(白鍵:象牙 黒鍵:黒檀 )

外装:マホガニー

動画URL:https://youtu.be/7Te4_OkVdDY(2022年8月3日公開)

撮影協力:ピアノプラザ高崎様 https://www.pianoplaza.com/


今回は超貴重な古いピアノの収録に毎度お世話になっているピアノプラザ群馬様にお邪魔してきました。 実はこの楽器日本に到着した時の開封から立ち会っておりました。到着時はボロボロで音も満足に出ない状態でした、実は修復が今か今かと待っていた楽器でもありました。 それというのもこの楽器が製造された時点ではメンデルスゾーン、ショパン、シューマン、リストが活躍しておりブラームスやチャイコフスキーはまだ子供、グリーグと同い年でフォーレやドビュッシー、ラフマニノフなんかは生まれてすらいない、当時のリアルが味わえる博物館級の代物です。 しかも驚くことに音の重大要素であるハンマーが180年前のオリジナルが使える状態で遺されているうえに修復はフランスピアノを知り尽くしたバルロンジャパンの和田氏が修復を施しております。もうこれだけでもお腹いっぱいですが早速楽器を見ていきましょう。 以前ご紹介したスタインウェイのスクウェア は総鉄骨でしたがこちらは木製の骨組みを組み合わせた半鉄骨になっております。78鍵と鍵盤も少なくまだスクウェアピアノがヨーロッパでも家庭用ピアノとして一般的だった時代の物になります。 外装はマホガニーにさり気ない象嵌の模様と鍵盤のロゴには真鍮が埋め込まれている。モデル名Piano carré Pieds en Xは日本語でX型の足のスクウェアピアノという意味そのまんまの交差された脚と割とシンプルな仕様。 今回のピアノの最大の目玉は何と言っても当時のハンマーが良好な状態で残っている点になります。ピアノの音を作り出す最重要部品の一つであるハンマー、ショパンの生きていた時代の物が残っているのはまさに奇跡以外の何物でもありません。 半鉄骨ピアノ特有のテンションの低いこの楽器。音色は柔和で伸びも良好。アクションの構造も非常にシンプルでしかもハンマーも小ぶりなためタッチは非常に軽やか。指先だけでタッチをコントロールする感覚で弾くと得も言われぬ音が出てきます。 しかしスクウェアピアノ全般に言えることではあるのですが、まずペダルが鍵盤の中央についていないので大股を開いて座る必要があり現代のピアノに慣れていると難儀します。そして音域両端の鍵盤が抉られておりこれも視覚的、触感的にも慣れが必要です。 しかしこの素晴らしい音の前ではそんなのは些細な問題です、実際慣れれば普通に弾けますし軽く鋭敏な鍵盤は非常に色々なイマジネーションを与えてくれます。ショパン時代の音がそのまま体現できた素晴らしい楽器でした。

『ピアノプラザ群馬様』貴重な楽器を十分に楽しませていただきありがとうございました。


エラール

フランスピアノとしてはシンプルな見た目。販売当時の一般家庭用のエントリーモデルと思われる。そしてペダルが楽器の中央に取り付けられており鍵盤の中央からかなり右についてるのが分かる。


エラール

美しいエラールのロゴマーク。鍵盤周りは象嵌ではなく真鍮が埋め込まれている。


エラール

シンプルな脚のデザインとさり気ない象嵌が合わさり非常に趣がある。


エラール

譜面台を全て立てた状態。高音部に歌や器楽用の譜面台まで備え付けられている。

エラール

フレーム部。黒い部分が鉄骨でできている。左上及び右部分は木製の骨組みを備えた半鉄骨形式になっている。当然以前ご紹介した総鉄骨のスタインウェイのスクウェアに比べて張力が低く音量も少ない。


エラール

エラールでは最早定番の下付きのダンパー。左のフェルトがダンパーで右に付いているのが左ペダルのモデレーター(弱音器)である。


エラール

響板に手で書かれた製造番号。この写真では判別しづらいが#15407と書かれている。


エラール

比較的シンプルなペダル。右は普通のダンパ-で左が弱音器となっている。


エラール

180年前のオリジナルハンマー。奇跡的な状態の良さである。 ※写真はバルロンジャパンさんのサイトからの転載になります。

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