データ
モデル名:プレイエル モデル名3bis(164cm)
製造年:1905年頃
製造国:フランス パリ製
張弦方法:総一本張り
フロント側:低音~次高音 アグラフ、高音部 カポダストロバー
ピン仕様:オープンフレーム
アクション仕様:シュワンダー式ダブルエスケープメントアクション(プレイエル製)
ペダル:2本
鍵盤:85鍵(白鍵: 象牙 黒鍵: 黒檀 )
外装:ローズウッド(半艶再塗装)
アトリエミストラルさんのHP:https://atelier-mistral.jimdo.com/
群馬県高崎市にある元銀行の建物を改築したアトリエミストラルさんの所蔵楽器。
初めて弾いた時から心底惚れ込んだピアノ。プレイエルは現在はショパンが愛したピアノとしてのみ知られていますが本来はフランス3大ピアノメーカーの一つとして19世紀~20世紀の初期頃までは大手メーカーとして名を馳せていました。
今回の楽器はプレイエルの164cmの小型グランド3bisです。フランスピアノは元来小さいピアノを作るのに長けておりこのプレイエルの3bisもその代表的なモデルとなっています。
音の印象はビロードの様に滑らかで美しく、繊細で華奢に感じました。これは今のピアノには存在しないタイプの楽器で音量や音の煌びやかさ、要するに大きいホールでオーケストラに埋もれない楽器の対極にある楽器です。
はっきり言ってスタインウェイ的な圧倒する力強い音は一切出ませんが弱音側は無限の表現幅があり、この楽器はそこで如何に音楽を表現するかを大事にしている楽器です。
その弱音美を支えるのがプレイエルの素晴らしいアクション。小型とは思えない軽さと小回りの良さ、そして演奏者の機微なタッチの変化を全て拾って音にしてくれます。悪い言い方をするとタッチのムラがそのまますべて音のムラとして反映されます。
総じて繊細で美しいピアノの一言に尽きます。このピアノとショパンが使っていた時代のプレイエルはまるで違うものですが、その音作りのDNAは間違いなくこのピアノにも脈々と受け継がれていることを感じさせてくれる一台でした。

派手な装飾が多いフランスピアノにあって珍しくシンプルな外装。八の字型のペダルはプレイエルピアノの特徴の一つ。

非常にお洒落なプレイエルのロゴ。フレーム形状は低音側に横方向の補強が無く非常に華奢な印象を受ける。

これこそフランスピアノの真骨頂と言えるフレームのロゴデザイン、見えないところのデザインにも一切隙が無い。そして弦は総一本張りである。

ピン板がむき出しのオープン構造、このあたりからもこのピアノが昔ながらの設計なのが分かる。そしてこの角度から見ても非常にフレームが華奢に見える。

響板にあるデカール、フランスピアノは美しさに関しては一切の妥協が見られない。正直こんなのをチェックするのは修復家か調律師か自分みたいなオタクだけです(笑)
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