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【ピアノ演奏温故知新】第12回マイラ・ヘス

更新日:2021年8月24日

【ピアノ演奏温故知新】では過去の偉大なるピアニストとその奇跡的なピアノ演奏を数多くご紹介していきます。

第12回はイギリスを代表する女流ピアニストで戦中のロンドンで音楽によって人々を救った『マイラ・ヘス』をご紹介します。



マイラ・ヘス(1890~1965)

マイラ・ヘス
 

略歴

1890年イギリスのロンドンに生まれる。

12歳の時に王立音楽院に奨学金を得て入学。名教師トビアス・マッセイにピアノを師事。

1907年にロンドンでデビュー。

1922年にアメリカにデビュー。

第2次世界大戦中に伝説となるロンドンのナショナルギャラリーにて自身が中心となりランチタイム・リサイタルを開き演奏によって戦禍にあったイギリス市民を勇気づけた。ヘス達が始めたコンサートは延べ1698回を数え75万人以上の聴衆が足を運んだ。

1941年ランチタイム・コンサートの功績が認められデイムの称号が授与される。

1961年脳梗塞のため演奏活動を引退。

1965年ロンドンにて心臓発作により亡くなる。(享年75歳)

 

マイラ・ヘスの超有名編曲

バッハ=ヘス:『主よ人の望みの喜びよ』

(使用ピアノはスタインウェイ)

 

演奏スタイル

ヘスの演奏は一切力みの無い自然で落ち着いた美しいもので女性ならではの包容力があります。テンポも決して前のめりにならず淡々と、しかし単調になることはありません。しっとり深いタッチによって温かい音で優しく歌い込みます。ライブでもその特徴は顕著で過度なルバートやテンポの緩急に頼らずに非常に端正な演奏で聴衆を惹き付けました。

レパートリーはバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームスとドイツ音楽が中心ですがスペインの作品や同時代のイギリスの作曲家の作品なども録音を遺しました。

 

イリノイ大学での魅惑的なライブ録音

シューベルト:ドイツ舞曲集

 

同時代の人物による評価

ケネス・クラーク(ナショナル・ギャラリー館長)

『彼女がベートーヴェンの熱情ソナタの冒頭を演奏した瞬間は、私の人生で最も素晴らしい経験の1つです。』


1907年のデビューコンサート時の『レフェリー』誌の批評

ミス・ヘスは魂の中に天性の音楽をそなえている。彼女は詩人が詩を書くように演奏する。彼女の中に音楽があるからだ。


1922年1月17日のコンサートの『トリビューン』誌による批評

『頭のてっぺんからつま先まで、芸術家である。端正で威厳にあふれた体のすみずみまで、音楽家である。彼女の知識、直観力、技巧の力は最高の水準に達している。彼女は空想力のみならず、より高い想像力にも恵まれている。演奏は知的なだけでなく、詩的でもある。音楽の叡智が、彼女に開かれている。』


スティーブン・コヴァセヴィチ(ピアニスト/マイラ・ヘスの弟子)

『先生はスタイルで重要な要素は、演奏する作品にふさわしい音を作り出すことだと教えてくれました。先生は作曲家の指示にもっと注意を払うようにと言いました。そして、速く弾こうとしてはならないとも教えました。先生はゆっくりしたテンポでも、信じがたいほど熱気を感じさせるものになりえることを示してくれたのです。』

 

ヘスの歌心溢れる名演

グラナドス:ピアノ組曲『ゴイェスカス』より《嘆き、またはマハと夜うぐいす》

 

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