【ピアノ演奏温故知新】では過去の偉大なるピアニストとその奇跡的なピアノ演奏を数多くご紹介していきます。
第16回は日本にも縁のあるフランスの正統派『ラザール・レヴィ』をご紹介します。
ラザール・レヴィ(1882~1964)
略歴
1882年ベルギーのブリュッセルにてフランス人の両親から生まれる。
1894年パリ音楽院に入学。名門ルイ・ディエメ門下に入門。作曲をアンドレ・ジェルダジュとアルベール・ラヴィニャックに師事。
1898年一等を獲得し卒業。
1902年にデビューコンサートでシューマンのピアノ協奏曲を演奏。
1907年ディエメ門下のアシスタントになる。
1914年パリ音楽院の臨時講師に就任。
1958年の演奏会を最後に引退。
1964年パリで亡くなる。(享年82歳)
第1楽章&第2楽章
第3楽章
レヴィのチャーミングなモーツァルト
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番 K.331
(使用ピアノはプレイエル)
演奏スタイル
レヴィの演奏は正に正統派フランスのエスプリ溢れるスタイルです。非常に端正で清潔感のある演奏をしておりディエメ門下で同門であったロベール・カサドシュやイヴ・ナット、アルフレッド・コルトー達よりも特にフランス作品を弾く時に師匠のスタイルに近いように感じる。正統派フランスピアニズム特有のフワッと香り立つような演奏スタイルは他国のピアニストでは絶対に聴くことのできない特徴である。
レパートリーは古典派を中心にショパンやシューマンなどを弾いていますがなんといってもバロック時代から同時代の多くのフランス人作曲家の作品を熱心に演奏し録音にも遺している。
レヴィによるエスプリ溢れるフランス作曲家の作品
シャブリエ:木陰で、牧歌、スケルツォ=ヴァルス
同時代の人物による評価
サン=サーンス(作曲家)
『技術的な完成度と音楽性を両方持ち合わせた稀少な存在。』
1926年3月サル・エラールでの演奏会の批評
『彼の演奏はバイオリンやチェロが歌っている印象を与え、指が鍵盤を打つ印象はまったく与えない。』
1950年日本での演奏会の批評(レヴィは戦後初の来日外国人演奏家)
『それは完成の無造作であり、演奏は一部の危なげもなく進められていく。そこには大げさなジェスチャーもなく、また奇想天外な絢爛たる演奏もない。だが堅実素朴な、それでいて流暢極まりなく聴く人の心を惹かずにはおかぬ演奏である。そこには華美な名声を憧れる一般演奏者の姿はなく、名声を超越した天衣無縫の姿があった。』
レヴィの弟子
アニュエル・ブンダヴォエ、ルーカス・フォス、モニク・アース、クララ・ハスキル
ソロモン、コレット・クラ=タンスマン、イヴォンヌ・ロリオ、ミシェル・プラッソン
フランス・クリダ、カジミェシュ・セロツキ、ジョン・ケージ、ミハイル・ウニンスキー
ヴラド・ペルルミュテール、アンリ・バルダ、安川加壽子、田中希代子
井上二葉、遠藤郁子、原智恵子、他
レヴィが積極的に演奏した同時代のフランス作曲家の作品
デュカ:牧神のはるかな嘆き(ドビュッシーの追憶)
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