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【ピアノ演奏温故知新】第24回アルトゥール・シュナーベル

更新日:2022年12月11日

【ピアノ演奏温故知新】では過去の偉大なるピアニストとその奇跡的なピアノ演奏を数多くご紹介していきます。

第24回は20世紀前半にベートーヴェンの象徴とされたピアニスト『アルトゥール・シュナーベル』をご紹介します。



アルトゥール・シュナーベル(1882~1951)

シュナーベル
 

略歴

1882年ポーランドのリプニックに生まれる。

1889年にウィーンに渡りハンス・シュミットに師事したのちテオドール・レシェテツキに学ぶ。

1890年にウィーンでモーツァルトの協奏曲を弾きデビュー。

1900年ベルリンに移住

1905年アルト歌手のテレーゼ・ベーアと結婚する。

1921年アメリカデビューを果たす。

1925年以降教育活動にも専念する。

1935年世界初のベートーヴェンのソナタ全曲録音を行う。ヒトラーの台頭とともにドイツを逃れる。

1939年アメリカに移住。

1944年アメリカの市民権を得る。

1951年ニューヨークで最後の演奏会を行う。その年の8月スイスで死去(享年69歳)

 

シュナーベルのレパートリーとしては珍しいショーピース

ウェーバー:舞踏への勧誘

 

演奏スタイル

シュナーベルは1800年代のベートーヴェン演奏を色濃く残すピアニストでした。バックハウスのベートーヴェンは堅牢な建築物のような演奏であるのに対し、強固ではあるがより柔軟で華麗である。改めて聴いてみると演奏は意外にもかなりモダンな印象を受ける。なにより音色が多彩であり軽快なアゴーギクと相まってベートーヴェンでは特に現代のピアニストに比べロマンチックに聴こえてしまっているようにも感じる。

同門のフリードマンやモイセイヴィチなどに比べるとメカニカルな面では劣りはしますがシュナーベルのピアニズムの本質は他を圧倒するような名人芸的なものではなく、その美しい音色から紡ぎだされる気高く品ある叙情にこそあるのです。 レパートリーは非常に限定的でベートーヴェン、シューベルト、モーツァルト、ブラームスが主要なものとなっており、その他の作曲家の作品がわずかに残されているだけでありショパンやリスト等は録音すら残っていません。

 

シュナーベルの代名詞でもあるベートーヴェン

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第30番 作品109

 

同時代の人物による評価


ハロルド・ショーンバーグ(音楽評論家)

『シュナーベルは決して手を高々と上げたりしなかったし、頭を振ったりコンサートホールの天井に神を仰ごうともしなかった。それなのに彼が弾くと、聖堂の中のような沈黙が会場を満たした。彼のコンサートはサーカスではなく、客との交感だった。終わると聴衆は清められたような気持ちで散って行った。


テオドール・レシェテツキ(ピアニスト)

『あなたはピアニストではなく音楽家になるだろう。』



シュナーベルの格言

『理想的な演奏者は、正確な判断力と知性で記号を読み取り書いてあることを演奏できる人間である。』

 

シューベルトのピアノ音楽を再評価させたシュナーベルの演奏

シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 D.960

 

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