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【ピアノ演奏温故知新】第5回モーリッツ・ローゼンタール

執筆者の写真: 西野 智也西野 智也

更新日:2021年8月24日

【ピアノ演奏温故知新】では過去の偉大なるピアニストとその奇跡的なピアノ演奏を数多くご紹介していきます。

第5回はショパンとリスト両方のピアノ流儀を身につけたヴィルトゥオーゾ『モーリッツ・ローゼンタール』をご紹介します。



モーリッツ・ローゼンタール(1862~1946)

ローゼンタール
 

略歴

1862年当時ポーランド領だったレンベルクに生まれる。8歳に地元のピアノ教師ウェンツェル・ガロートにピアノを習う。

1872年にショパンの直弟子カルロ・ミクリに入門し専門的にピアノの手ほどきを受ける。

1878年にフランツ・リストに入門しヴァイマールやローマで指導を受ける。

1880年にウィーン大学で哲学を学ぶ。6年後に演奏を再開する。

1939年ニューヨークに教室を開設。

1946年ニューヨークで死去(享年83歳)

 

ショパン直系のローゼンタールによる代表的名演

ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調から第2楽章

 

演奏スタイル

ローゼンタールの演奏スタイルはショパンの流れをくむ詩的で流麗なものとリスト譲りの目も眩むような超絶技巧の高次元な調和にあります。

非常に二面性に富んだピアニストで品の良いルバート、美しい歌いまわしで優美にショパンを演奏したかと思うと、リストの作品ではカデンツァの改編やピアノが破壊されるのではないかと思うほど激しい演奏をしたりします。演奏様式自体は19世紀のいわゆるロマン派的な演奏です。特に自作自演ではローゼンタールの二面性が非常によく出ています。

純粋な技術で言えば同時代のピアニストの中でも5本の指に入る程優れたものでした。

遺された録音の少なさからレパートリーの全容を窺い知ることは出来ないがショパンとリストがメインになっていたことは間違いないようです。

 

ローゼンタールのもう一人の師匠リスト

ショパン=リスト:ポーランドの歌 第5番『私の喜び』

 

同時代の人物による評価

The Dundee Courier & Argus紙(1895年12月16日発行)

『ローゼンタール氏は彼の演奏を聴いたことがなかった聴衆に彼に並ぶヴィルトゥオーゾがいないことを明らかにしたのだ。ローゼンタール氏は彼の指に演奏できないものが存在しないことを驚異的なほど見事に証明した。』


エルネスト・ニューマン(音楽評論家)

『ローゼンタール氏はショパンの第1番協奏曲を彼の膨大な経験と有名な素晴らしい技術を全て注ぎ込みしなやかさと安らぎの音色で演奏しました。それは今日よく聴かれる騎馬隊の様なやかましい演奏ではなく、ショパン自身の演奏の様に静かに演奏したのです。』


モーリッツ・ローゼンタールの門下生

ロベルト・ゴールドサンド、チャールズ・ローゼン、ホルヘ・ボレットetc...

 

ローゼンタールの超絶技巧な自作自演

ローゼンタール:ヨハン・シュトラウスによる幻想曲

 

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